[書評]
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安田辰郎は、一月十三日の夜、赤坂の割烹料理亭「小雪」に一人の客を招待した。客の正体は・・・。
松本清張代表作、昭和32年連載推理小説。
ということで、松本清張さんです。何でか点と線を読んだのですが、前々から母が点と線は面白いと言っていて、どうも団塊世代の若者だったころにこれらの推理小説がはやったみたいで、文庫になってから買った本書をずっととっておいたのですね。読もうか読もうかと先延ばしにしていたのですけれど、ついに手元の文庫が切れたのを機に読むことになったのでした。
本自体は、すっかり黄ばんでしまっているものの、大切に保管されていたので、頁が折られていることもなく、無論アンダーラインなんかもなく、しおりも残っていて、読むに十分の状態、なんですが、昔の文庫はいかんせん字が小さい。ずいぶんと小さな字を読んでいたんだなあ、と妙なところに感心したりして、それでも、読んでいくうちに字の小ささには慣れていき、ストーリーも分かりやすいので、物語の中へと自然と入ってゆくのでした、ぽよよんと。
で、内容はというと、実はそれほど大したものではないような気がするのが正直な感想で、文体が面白いわけでもなく、ストーリーが有り余るほど面白いわけではない。昔の映画を見ているかのようといったところでしょうか。当時ならば、当然面白く読んでいたでしょうし、今となっても、推理小説界の流れを知ったうえでの方の読み方だったら、また違う感慨があるような気もします。 個人的には、今となっては古臭い時代背景が好きだったりします。
――彼はさすがに、汚職問題でその部をやめて他部に移りましたが、なんと移った新しい部が前よりはポストがいいのです。そんなばかなことはないのですが、役所というものはふしぎなところですね。将来、局長になり、次官になり、あるいは代議士ぐらいに打って出るかわかりません。かわいそうなのは、その下で忠勤をはげんで踏台にされた下僚どもです。上役に目をかけられていると思うと、どんなに利用されても感奮しますからね。「出世」したい気持ちはかなしいくらいです。
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